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■リレーコラム
      〜ヘルスケア・マネジメントにおける諸問題を考える

第21回 医療のグローバル化
中井惠美子(中井生活経済研究所 所長)

 先月、ひょんなことから韓国の医療サービスを受けるという得がたい体験をした。海外で受診したのは初めて。しかも乏しい英語力なのでかなり緊張したが、 全くの杞憂であった。

 私にはチョさんという日本語が堪能な若い女性職員がついてくれて医者との通訳はもちろんのこと、待合室も、検査中もずっと一緒。 疲れたなぁ、とつぶやいたら別室でコーヒーまで入れてくれた。私がネコ好きであることを確かめたうえで、ネコの絵が入ったロッカーの鍵を渡された。ロッカーにはネコや犬やカエルの絵が貼ってある。 「カエル」は選ぶ人がいないんじゃないの?ときくと、「無事カエル」といって縁起がいいんですよ、と流暢な日本語での答え。
 最初は、動物のロッカーキーなんて、子供じゃあるまいしと思ったが、これが結構、緊張をほぐすことを知った。大きな病気だったらどうしよう、と心配しつつ、待合室でネコのキーを握りしめている。

患者の気持ちに寄り添ったサービスが随所に感じられる。
しかし、チョさんの人件費をはじめ、採算はとれるのだろうか。

 医療のグローバル化が進んでいる。
 私はたまたま旅行中に受診したが、わざわざ医療を受けるために海外から韓国にやってくる患者達がいる。いわゆるメディカルツーリズムで、米国人の場合には、米国の高すぎる医療費、中国人の場合には、医療水準の問題という国内事情がある。
 しかし、その点、日本にはしっかりした保険診療体制があるので臓器移植以外で、わざわざ海外の医療を受けにいく人たちはほとんどいない。また、日本の医療を受けにわざわざ海外から来る人たちもいない。 その意味では、日本は医療の鎖国状態にあるともいえる。

 日本の病院の関心事は、診療報酬体系にあり、当然ながら、保険制度のなかでの経営しか視野にはない。鎖国状態でいられるのは、ある意味では幸せなことなのだが、国内の保険制度が揺らいだとき、 また、グローバル化の波が日本にも押し寄せたとき開国前の江戸幕府になりかねない。

 今年8月に我が国で初めて、亀田総合病院・亀田クリニックがJCIという病院機能評価の国際認証を取得した。この認証は、米国の医療保険指定の要件となっているので取得によって米国からの患者を受け入れやすくなるだろう。

  着々と、医療のグローバル化への布石が打たれ始めている。日本には言葉の問題が立ちはだかるが、韓国でみた「言葉のサービス」が参考になると思った。

ちなみに、私が受診したのは、ウリドゥル病院。世界最大規模の脊髄疾患専門病院といわれている。この病院にMRI、CT、放射線の検査料と診察、治療、2週間分の薬で97万ウォン(7万6千円)を支払った。全額自己負担だから決して安くはないが、飛び込みで入ったのに、2時間ほど待たされただけでMRI検査まで受けることができ、併設のペインクリニックで針治療を受け、すぐに効果があった。
 それになにより、受付から治療完了まで病院にいる間は、常にチョさんの笑顔があり、領収書も日本語で出してあげられますよ、という徹底した日本語サービスに、日本の病院でここまでやれるところがあるだろうかと グローバル化に遅れた日本の現状にある種の危機感を覚えたのである。


2009年11月27日
 
中井 惠美子 (なかい えみこ)
中井惠美子(中井生活経済研究所 所長)

中井生活経済研究所 所長


著書・その他:
中井生活経済研究所ホームページ
資産はこうして増やせ―ビッグバンがやってくる (マイガイア、1997/10)
医療機関債発行ガイドブック―医療法人の新しい資金調達法(じほう、2006/01)

 

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