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■リレーコラム
      〜ヘルスケア・マネジメントにおける諸問題を考える

第19回 認知経済学と医療(1)
藤井大輔(多摩大学リスクマネンジメントセンター フェロー)

 昨年のリーマンショック以降、新自由主義による市場原理主義に傾いていた多くの資本主義国家は、大いなる痛手を負い、未だ出口が見えざる状況である。
 功利主義を礎にした自由市場は確かに、世界的に大いなる経済成長をもたらした。豊かな国を目指して自由市場は拡大し、グローバル経済化していったのは当然の成り行きであったであろう。


 昨年以降一変した世界の経済状況は一気に行き過ぎた市場原理主義を非難し始めている。自由主義の国アメリカでさえ、企業への公的資本の注入が当たり前のように行われている。さりとて資本主義から古い対立である社会主義へ移行するような革命といえるべき移行が各国でおこらないのは、東欧、中国といった社会主義の国家のたどった軌跡がまだ鮮烈に人々の記憶に 残っているからであろう。


 近代社会から現代において、人々はいったい何を求め、迷走してきたのであろう。それは、万人が納得できる「共感」の明確化ではなかったのか。
 新自由主義は市場の均衡と機会の平等をもって、万人の共感を得ようとした。透明性を高めても、市場は万能ではなく不完全で、各国とも規制の波にさらされている。しかし、計画経済による社会主義も理想とはかけ離れた硬直性を示し、万人の共感からは程遠い国家をなしていった。さりとて、社会民主主義という多数決にゆだねた結果でさえ、多数の求める高福祉を支える経済の自由度、生産性の低下は多くの国を金融経済に走らせ、「第3の道」が資本主義国家を救う活路となるにはいたらなかった。


 独裁をもって共感を推測するのは歴史上明らかに欠陥があり、意見の表明による多数決でさえ次第に迷走し共感から離れていく。「神の見えざる手」にゆだねても、均衡はすぐに万人の共感から離れていく。共感が得られるであろう結果の推測としての不確実性に加え、いずれも帰結主義であり、互いの万人が共感しあう認識によって起こるプロセスの時間的変化には対応するすべもなかった。


 近代経済学の祖であるアダムスミスは自由市場を説く「国富論」の前提として「道徳感情論」を記しており、彼自身がもっとも大切にし、最後まで手を加え続けていた。つまり自由市場の前提には万人の共感をえる前提が必要と考えていたのではないか。
 ならば、発想を変えねばならない。「共感」自体をつかみそれを規範とした経済政策を考えることはできないのか。その規範経済学を目指すものが「認知経済学」である。


2009年9月24日
 
藤井大輔 (ふじい だいすけ)
 

多摩大学リスクマネンジメントセンター フェロー


著書・その他:
医師のための社会保障知識(治療, 90(4) : 1611-1616, 2008.)

 

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