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■リレーコラム
      〜ヘルスケア・マネジメントにおける諸問題を考える

第18回 行き詰る病院経営の原因2 〜己を知らず、敵を知らず〜
鈴木 忠(株式会社メディカルクリエイト ディレクター・医師)

 病院のコンサルティングをしていると、いい医療さえしていれば患者は自然と集まってくるからマーケティングなどいらないといった意見を医師から 受けることが少なくありません。確かに病院やクリニックの中にはほとんど広告やPRをされずに集患されているところはあります。しかし、こういう医療機関はマーケティングと無縁なのでしょうか。

 では、“いい医療”とは何でしょうか。PRがなくても盛業の医療機関は、図っているか否かは別として少なくとも地域のニーズに応える医療を提供しているはずです。一方でなかなか患者さんを集められていない医療機関の多くは、独りよがりの医療をしていて市場のニーズに一致していないのではないでしょうか。

 医療は、公定価格ですから、同じ商品に付加価値を付けたとしても高く売ることはできません。看板も出さずに常連客相手にひっそりと営業をしている老舗料亭ではなく、どちらかというと駅前の居酒屋のようなものではないでしょうか。市場の動向を知り、ニーズにマッチした商品を適切なPRのもと提供してくことが求められるのではないでしょうか。

 また、医療は非営利であり営利企業(ビジネス)とは違うという声があります。確かにこれは間違いではありませんが、だからと言ってビジネスルールを守らなくてもいいということにはなりません。たとえば、金融機関からの借入金の返済が滞っているなか、職員へ賞与を出すといったことが何の疑問もなく行われます。医師や看護師は自分の職業に対するロイヤルティはあっても組織に対しては希薄であり、賞与など待遇が悪化すると離職してしまう危険があることは事実です。しかし、ビジネス界からそのルールに則って資金を調達したなら、返済もそれに従わざるを得ません。金融機関側は医療界の論理に沿って債券を処理してはくれませんから、相手を知って交渉していかないと医療者にとっては思わぬ経営困難に追い込まれることになります。

 孫子の兵法にある「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」という格言はあまりに有名でありますが、医療制度や収支構造、市場の状況を知ると同時に、医療を取り巻くビジネス環境を知ることが勝利の秘訣ではないでしょうか。


2009年6月17日
 
鈴木 忠 (すずき ただし)
 

株式会社メディカルクリエイト ディレクター・医師


著書・その他:
新しい地域医療の取り組み(1) -在宅パス- (治療, 88(10) : 2624-2629, 2006.)

 

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