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■リレーコラム
      〜ヘルスケア・マネジメントにおける諸問題を考える

第16回 医療従事者の卒後教育と教育機会の格差
田上しのぶ(ACTS HEALTHCARE 代表)

 医療は日進月歩。先日、植物状態と診断され何年も経過していた患者の脳波が反応し、ある薬を投与すると数時間だけ目を開け、簡単な会話を交わし、 周囲のものを認識し車椅子上で手足を動かしている患者の映像がテレビで放映されていました。数年前までの医療知識レベルでは考えられない事です。


 医療従事者は専門教育を受けている学生時代よりもむしろ、実践技術を含め、卒業後に学ぶことの方が多いのではないでしょうか。社会人の学習、 いわゆる「成人学習」では、学生時代の学習に比べて、必要に迫られて学ぶ、或いはより能動的に学ぶ姿勢があると私は考えています。 そこには学ぶことの目的意識があり、知的好奇心が働いている上、さらに学ぶ内容は実践で活用できるレベル、或いは実践で応用できるレベルを 求めています。


 私は医療、看護は「実践の行動科学」と考えています。科学や行動科学を解っていても、実践できなければならないと思っています。「医学」、「看護学」 との違いで、「アート」と表現する方もいらっしゃいますが、標準化の困難な「個別性のある普遍性要素」に対処することの出来る「実践の行動科学」 だと考えています。

 それゆえ、最新の高い知識を十分に頭に叩き込んだとしても、それだけでは多くの経験を積んでいる諸先輩には及ばないのです。そしてここには思考方法の違いが見られます。


 看護学生は基礎教育で、おおむね結論からそこに見られる事象、現象を学びます。例えば、分かりやすい事例で、糖尿病という疾患を思い浮かべてみて下さい。糖尿病になると、症状は高血糖値、発汗、多尿、体重減少・・・・。 臨床現場では、医師が糖尿病と診断した患者さんが入院して来ると、血糖値の測定、皮膚の湿潤状態、尿量、体重、食事摂取量、等々・・・を観察し、その変化を見ます。しかし、実際にはこれだけでは済みません。ベテラン看護師になってくると、知覚・視覚・腎機能のデータに異常はないか、患者の背景は・・・など、情報と知識、 経験知を駆使し、対処、予防指導、合併症の早期察知などが行えるようになります。
 ここには、演繹的思考法と帰納的思考法を使い、推論し仮説を立て、検証を繰り返すという作業を思考レベルで行っています。医師の場合は、疾患の診断をするために、 患者の主訴、既往歴、遺伝的要素、検査データ等々から、病態生理や理論を当てはめ、推論し仮説検証を行い結論に達するという教育・訓練が行われていていますが、 それでも経験知は必要です。そして自分の思考は本当に合っているのかと内省し、クリティカルシンキングすることも必要です。このような思考が出来るようになるには、 教育と訓練が必要です。


 私は現在、認定看護師の教育機関でいくつかの授業を受け持たせていただいていますが、医療従事者の教育機会の格差(地域格差、職種別の格差)を感じています。
 また別の側面から、医療の臨床現場で提供される医療サービスを支える管理・運営、支援部門の人材育成も重要な要素でありながら、現場任せとなっているのが多くの現状ではないでしょうか。臨床現場で医療サービスを提供する職員も、それを支える職員も、ある意味最も重要な経営幹部も、全ての職種、全ての職位の人材育成、教育機会の格差が、医療の質の格差につながる可能性は大きいと思われます。

 一部報道で、東北地方の某病院の薬剤師を対処に、インターネット経由での遠隔地にある大学病院との勉強会が紹介されていました。今後ますます発展、普及する分野には違いありませんが、まだまだ極一部です。「組織造りは人づくり」です。最新の情報を共有できる仕組みづくりに一つのカギがあると思います。


2009年5月11日
 
田上 しのぶ (たのうえ しのぶ)
田上しのぶ先生(ACTS HEALTHCARE 代表)

ACTS HEALTHCARE 代表


著書・その他:
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