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■リレーコラム
      〜ヘルスケア・マネジメントにおける諸問題を考える

第15回 医師不足を補えるか
田上しのぶ(ACTS HEALTHCARE 代表)

 先日、秋篠宮家の悠仁様がお生まれになったことでも有名な、東京港区に ある愛育病院のニュースが医療現場の現状を伝えました。 医師の労働条件に対する労働基準法違反(労使協定:三六協定を結ばずに 医師に長時間労働をさせた)として労働基準監督署から是正勧告を受け、 「総合周産期母子医療センター」指定の返上を都に打診しました。 その後、都は返上の必要はないとし、事実上、返上打診を撤回していますが、 この問題の根本解決には至っていません。

 私は以前、各種医療従事者の業務調査をしたことがあり、産科領域に限らず 医師の労働環境の厳しさは尋常ではなく、いつか労働基準監督署がメスを 入れるはずだが、そのメスが根治のきっかけになるのか・・・、もしかしたら、 労働基準監督署は日本全国の医療機関に転移・増殖しているこの悪性疾患に、 手を出すことすらしないかもしれない・・・などと考えたことがありました。 このニュースを聞いて、労働基準監督署や医療施設側の今後の対応、 都の今回の対応など、医療従事者、特に医師、医療施設の経営者や管理者は 引き続き関心を寄せていくだろうと思っています。

 しかし、この医師不足の状況に対して少しでも解消につながるならと、 女性医師をはじめとする潜在医師の活用など対策がまったくないわけでも ありません。医師の業務軽減のためにメディカルクラークや診療記録管理士の 導入や、医師の独占業務の一部を他職種にという動きは既に始まっており、 看護師の静脈注射実施もその一つでした。

 これも既にメディアなどでも取り上げられてご存知の方もいるかと思いますが、 ナースプラクティショナー(NP)の導入もその一貫と言えます。 アメリカ合衆国で活躍しているNPと比べると違いがありますが、昨年度より 全国にさきがけ、大分県立看護科学大学大学院でNPの養成が始まり、 今年度は聖路加看護大学大学院、国際医療福祉大学大学院も追随しました。 来年度はさらにNP養成機関が増えるもようです。 ただ、法整備がまだされていないため、早くて今年度末に修了者が輩出され ますが、その活動がどうなるか不明な点もまだあります。法制化にさきがけて 養成が始まっているわけですが、社会の要請から行政・立法・司法も動くことに なるでしょう。

 看護界では、専門看護師、認定看護師に続き、NPが導入されると、 それぞれの役割だけでなく、業務や責任と権限に対する変化がおきます。 NPが担える業務として考えられているのは、外来におけるトリアージ診療、 CV挿入、腹水穿刺、一部の処方などのようです。

 一つの調査結果では、医師以外の医療従事者として看護師に裁量権 (意思決定権)を与え、業務拡大を図ることに対して医師は9割以上、 看護師は7割以上が賛成しています。同様に看護師以外の医療専門職に対して も高い比率で賛成しています。もちろんそれには高度の臨床実践能力、技術と 思考能力の教育が不可欠です。

 医療サービスの需要の増加は避けられない事実であり、医療従事者の奉仕の 精神と犠牲の上に成り立っている日本の医療に限界が来ているのも事実です。 医療に係わる仕事がもっと魅力あるものになることを願いたいです。


2009年4月6日
 
田上 しのぶ (たのうえ しのぶ)
田上しのぶ先生(ACTS HEALTHCARE 代表)

ACTS HEALTHCARE 代表


著書・その他:
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