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■リレーコラム
      〜ヘルスケア・マネジメントにおける諸問題を考える

第12回 見える化による質の向上(2)
井上美夫  (アポロマネジメント株式会社 代表取締役 / 多摩大学医療リスクマネジメントセンター フェロー)

◇たらい回し対策(補足)

 先月のメルマガで、周産期救急の妊婦たらい回し対策としての「見える化」について述べました。本題からそれますが、この件について少しお話しを続けます。基本的な対策は、産科医や看護師を増やし、NICU(新生児集中治療室)を増設するための予算を確保することだと思います。狸やウサギしか通らないような山道の舗装や、一日に数台しか通らないような地域に整備道路・高速道路を建設するくらいならば、その予算の一部を医療費に回して欲しいものです。ちなみに、高速道路のキロあたり事業費は、平均90億円、キロ当たりの建設費が一番高いのは中央道、名神高速で420億円、安いところでも、岡山道、米子道の建設に24億円かかっているそうです。

 ところで、周産期医療と救急医療の連携強化などを求める「周産期救急医療体制特に母体救命救急体制の整備に関する緊急提言」が 出されたようですね。この中で、良い提言が出されるのを期待しています。

◇見える化の元祖・トヨタ生産方式

 さて、「見える化」の元祖は、「かんばん方式」で代表されるトヨタ生産方式だといわれています。「かんばん方式」は、アメリカの スーパーマーケットを参考にして、大野耐一氏(後のトヨタ副社長)が現場の責任者時代に考え出した生産管理手法です。 スーパーマーケットでは陳列してある商品がなくなった場合、その商品補給のために必要量だけを補充している、ということにヒントを得たとのことです。
 「かんばん方式」は、生産ラインにおいて後工程(機械・設備など)が必要なモノを必要な量だけを前工程に引き取りに行く方式であり、 在庫を減らすということが目的の一つです。「かんばん」を使うことによる他のメリットとして、作業指示の簡略化、進捗管理・現品管理の 容易化そして優先作業の明確化などが挙げられます。つまり、生産性向上に繋がり、経営の質が向上することになります。

◇米国病院でのトヨタ方式の導入事例

 11月23日(日)の日本経済新聞に、「医療の質と経営向上へトヨタ方式」という記事が掲載されていました。シアトルにあるバージニア・メイソン・メディカル・センターという病院では、医療の質と経営の改善にトヨタ生産方式を導入しているとのことです。ここでは、「かんばん方式」の一例として手術室の備品棚の例が挙げられていました。備品の補充が必要な品目や個数が一目で分かるようになっています。また、手術に関しても患者の待機中や手術中などの状態をリアルタイムで分かるようにしていて、患者や家族が長時間待たされることはなく、職員も効率的に動いているとありました。他にも安全に関する例などが掲載されていましたが、病院内で「見える化」が図られていて有効に機能しているわけです。

◇ 経営の「見える化」について

   多くの病院に展開されているクリニカルパスも「見える化」の手法の一つと言えます。医師や看護師、コメディカルにとって医療の適正化や業務の効率化が図れると同時に、患者さんにとっても、入院から退院までのプロセスが目で見ることができますので、受ける医療の内容が理解しやすくなっています。


 ところで、これまでお話ししてきた「見える化」は、オペレーティングに関することが主体でしたが、経営に関しても、「見える化」が大事です。経営理念やビジョン、また、目指す姿を明確にする、つまり「見える化」することで、職員の力のベクトルを同じ方向に向けることで、経営の質を上げることができます。

 バランススコアカードの手法を導入し、経営理念やビジョンの明確化と、戦略やアクションプランの策定に活用されている病院もありますが、この手法は、経営を「見える化」するという観点からも有効です。他にも、日本経営品質賞の経営品質向上プログラムを活用することも 「見える化」につながります。この賞は、米国のMB賞を参考に、1996年に立ち上げられましたが、米国では、2002年に受賞したSSMヘルスケアを始めとして2008年までに9病院がMB賞の表彰を受けています。このような手法を活用して経営の「見える化」を図ることで、医療の質、病院経営の質を上げることは可能であるといえます。

2009年1月6日
 
井上 美夫 (いのうえ よしお)
井上美夫 (アポロマネジメント株式会社 代表取締役/ 多摩大学
医療リスクマネジメントセンター フェロー)

アポロマネジメント株式会社 代表取締役 / 多摩大学医療リスクマネジメントセンター フェロー

著書・その他:
「ISO9001の活用による医療の質向上」 『治療』 2005年2月号 Vol.87 これからの医療経営を考える

 

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