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■リレーコラム
      〜ヘルスケア・マネジメントにおける諸問題を考える

第11回 見える化による質の向上(1)
井上美夫  (アポロマネジメント株式会社 代表取締役 / 多摩大学医療リスクマネジメントセンター フェロー)

◇「見える化」とは

 経営や現場の問題点を明らかにし、その問題を解決するために「見える化」を進めている企業が多く見られます。病院の場合も、医療や病院経営の質を高めるために「見える化」が重要なキーワードになると考えます。意図的に情報を隠しているわけではないが、システムとして実態が見えないような場合も、医療の質は良くなりません。
 「見える化」とは、問題や状況を客観的に判断できるようにすることです。経営や製品の質を高めるためには、その質の状態が見えていることが必要となります。医療の質も同じであり、その質の状態を明らかにして見えるようにすることが必要です。「見える化」をすることで、これまで見えていなかったものが見えるようになり、問題点が明らかになります。問題点が明らかになれば、解決に向けて行動が生まれます。

◇データで見る周産期救急の実態

 話が変わりますが、昨年の9月に奈良で38歳の妊婦が救急車で運ばれたにも係わらず、受け入れ先の病院が見つからず死産となったケースがありました。その時マスコミはこぞって“たらい回し”とか態勢の不備などと批判しました。東京でも今年の10月に妊婦が“たらい回し”されるケースが続けて発生し大きなニュースになりました。東京都では、このような“たらい回し”は起こりえないことと思っていましたが、実は東京都における“たらい回し”は多く発生しており、それが統計数値に現れていました。総務省の調べでは、平成18年の周産期救急における「最大収容時間」の都道府県別ワースト3は、1位が東京都の217分、2位は北海道の148分、3位は宮城県の146分でした。同じく「受け入れに至らなかった電話照会回数」(同前)においても、東京都は10回以上が30件、2位の千葉県の6件を大きく引き離しています。東京都では20回以上が6件ありました。なお東京都の場合、「受け入れに至らなかった理由」は、1位が処置困難の712件、2位が手術対応中の293件、3位が満床の269件となっていました。

◇「見える化」による“たらい回し”減少策

 “たらい回し”は、医療の質が悪いということになりますが、“たらい回し”に関して、産婦人科医の絶対数が足りない中で、医師不足を嘆いても始まりません。「見える化」という切り口でこの対策を考えると、周産期救急(交通事故など他の救急でも同様ですが)の場合どこに妊婦を運べばいいのかが直ちに分かる(つまり、見える)システムを構築する必要があります。例えば集中管理センターのような名称の組織があって、近隣の都道府県も含めた病院の状況(例えば、空きベッドがあるか、処置困難なのか、手術対応中なのか、後何時間で手術が完了するのかなど)を「見える化」しておきます。緊急の際には、そのセンターに電話をすれば何カ所も電話をかけることなく、受け入れ 可能の病院に効率よく妊婦を搬送することができるようになります。


  周産期救急はこれだけで解決するほど簡単なことではありませんが、このように病院の状況を「見える化」することで、“たらい回し”は減少するのではないかと思われます。 繰り返しになりますが、見えない問題は、解決できません。それを見えるようにするための仕組みが「見える化」です。「見える化」を推進することは、病院経営の質や医療の質を高めるために有効な手法であることには間違いないと思います。

2008年12月5日
 
井上 美夫 (いのうえ よしお)
井上美夫 (アポロマネジメント株式会社 代表取締役/ 多摩大学
医療リスクマネジメントセンター フェロー)

アポロマネジメント株式会社 代表取締役 / 多摩大学医療リスクマネジメントセンター フェロー

著書・その他:
「ISO9001の活用による医療の質向上」 『治療』 2005年2月号 Vol.87 これからの医療経営を考える

 

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