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■リレーコラム テーマ 2. こうすればもっと良くなる!授業実践

第11回 小学校における英語教育―中学との接続を踏まえて― (2)
久埜百合(中部学院大学客員教授)

 前号で、小学校英語を推進するためにも、小・中・高一貫の見通しを持って、授業計画を立てることの必要性について書かせていただきました。今回は、それではお前はどうやって指導計画を立ててきたのか」というご質問にお答えするつもりで、子どもに英語と出会わせる 筋道を私なりに書いてみたいと思います。紙幅が限られていますので手短に要点を書きますので、子どもの学習の様子など周辺のことをご想像いただきたく思います。


1. 最初の出会い
 未就学児からでも決して早すぎません。日本でも幼稚園でイマ―ジョン・プログラムを取り入れ、英語で保育を行っているところもあり、外国の例は枚挙に暇がありません。小学校の低学年まで、子どもたちの生活実態に合わせ、行動半径に寄り添った英語によるアクティビティを取り入れるのがいいと考えています。
 そこで、英語の単語を覚えたり、短くてやさしいフレーズを言わせたりするのではなく、そのようなことは副産物として、教え込むような指導は避け、英語による豊かなインプットの中で、楽しい体験をさせることを大切にします。世界の地理上の広がりもまだまだ不確かなのですが、英語の語りかけに、何とか理解し、判断し、行動する、という経験をさせます。忘れても大丈夫、繰り返しインプットを続ければいずれ何がしかのことを受け止めていくのだ、ということを指導者は確信を持って指導していきます。
 こういう経験を通して、英語という言語の大まかな仕組みを感じ取っていくと、英語の語順を身に付けることができます。日本語を介することなく、英語をそのまま体得していくことが肝心です。英語での語りかけの意味を日本語で説明するのではなく、実物と動きを通して理解させます。実物がなければ、教具がその役目を果します。この習得のプロセスで、子どもたちは多くの未発達の言葉を発するでしょう。 母語でさえ間違えて使うのですから、インプット量の少ない学習言語で間違いが起こるのは当然です。それをいちいち修正させようとするのではなく、常に正しいインプットを心がけながら温かく見守ることにしましょう。


 2. 中学年での学習
 子どもたちは、そろそろ理屈っぽくなってきます。聞こえてくる英語の中にルールがあると考えはじめ、そのルールを当てはめてアウトプットをしようとします。その判断が間違っていることもありますが、彼らなりの理由を見つけ、正しいインプットを聞くことにより自己修正をしていきます。このプロセスも、大事に見守りましょう。教えてもらえば分かる、というのではなく、自分で考えたら分かった、と思わせることが大切です。
 表現する内容は、子どもたちの身の回りのこと、学年に対応した学習内容のことなどを取り上げます。いつまでも言語材料が言語習得の初期のものでは、幼稚っぽい、と嫌がりますから、精神発達段階にあわせるように心がけます。


 私が30年近く使ってきた中学年1年間のカリキュラムを紹介させてください。 一つの目安、と考え、言語材料を10レッスンに分けてあります。子どもの習得順序が 指導順序と一致することが望ましく、この配分を考えました。

 少なくとも義務教育期間の中学3年生までに身につけて欲しい英語の運用能力を明確にし、そのために逆算して小学校6年生までに何を すべきかを検討することが急務です。そのときに、「素地を養う」ということの意味が理解され、指導内容や指導方法が確定されると考えます。

◆ 導入期の指導順序私案
(1983年以来、小学校4年生に1年間30コマ程度で導入してきた指導計画)

English in Action Book1 (ぼーぐなん)

 

レッスン

レッスンタイトル

指導のポイント

歌・ライム・早口ことば

1

Welcome to Our Class

あいさつ 
I am / You are (名前・年齢).
自分のことについて、言ってもらえば分かる
少し真似ができる

♪あいさつの歌
♪ABCの歌

2

Let’s Make Friends

I am / You are (形容詞).
I have / You have (名詞)
自分のことも伝えられて、友達のことも聞いていられる。自分の状態、持ち物についての表現を経験する。

♪The Alphabet
歌を歌い、英語の音に慣れる

3

Let’s Make More Friends

This is … . / I live in ….
自分の住んでいるところについて伝えられる

My Alphabet(ライム)

4

I Have Two Pictures

I have (数)(名詞).
How much …?  数の表現に慣れる

♪Seven Steps

5

I Study on Monday

曜日、科目名
Study などの一般動詞への導入
学校の授業などの表現を経験する

♪曜日の歌

6

It’s Fine Today

お天気と四季
I can play (スポーツ)

To the Rain(ライム)

7

My Birthday

生まれた月、場所I was born in ….
友だちの生まれた月・場所も聞いて理解できる

Pease Porridge Hot (ライム)
手遊びをして、英語の音を楽しむ

8

My Dog Has Short Legs

形容詞
I am an elephant.  I have big ears.
既習の表現を復習しながら、新しい素材について表現し、また友だちの発表を聞いて理解する

♪Head and Shoulders
♪Open Shut Them
久埜自作のも含め、英語の音の作り方になれる

9

Let’s Take a Picture

命令文、簡単な動詞
既に知っている動作同士を使いながら、 いろいろな動作の言い方を経験する

Simon Says 

10

I Like Soccer

I like (スポーツ・食べ物)
好き・嫌いについて表現し合う
簡単な自己紹介ができる
動物を選んで、動物の特徴などを既習の表現を使って紹介できる。友達の発表を聞いて理解できる.

狼と七匹の子山羊:
狼の自己紹介 既習の平易な文で発表しあう


3. 高学年での学習
 次年度では、もう少し英語の分の構造を類推できるような活動を盛り込み、ゆっくり時間をかけて形容詞や動詞の語彙を増やし、助動詞を入れて表現の色合いを豊かにし、時制の違いも経験させる、その間に、英語の音を作るおもしろさを歌やライムで経験させる、ということを続けます。
 そのときに、子どもにとって身近で、本当に知りたいこと、伝えたいことを題材に選び、意味のある活動を続けることが習得を確かなものにしていきます。


 もし、このような考え方で小学校の学習環境が整えられれば、小学校の5・6年生の2年間には、現在中学1年生で教えられているような表現を習得することができ、中学の英語教育の内容が深まると考えています。
 小学校で英語を導入するという大仕事で、中学英語が、そしてその後の英語教育の内容が豊かになることを目指したいと思います。

2009年1月19日

 
久埜百合 (くの ゆり)
久埜百合(中部学院大学客員教授)

中部学院大学客員教授。

著書・その他:
ここがポイント!小学校英語 (三省堂、2006/08)
こんなふうに始めてみては?小学校英語 (小学館、2000/10)
小学生の英会話活動―英語が好きになる (教育技術MOOK)
これならできる!小学校英語ガイドブック―先生のためのNHK「えいごリアン」徹底活用術 (教育シリーズ) (日本放送出版協会 、2002/07)
うたって遊ぼう小学生の英語の歌 (教育技術MOOK) (小学館、2000/10)

 

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