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■リレーコラム テーマ 2. こうすればもっと良くなる!授業実践

第10回 小学校における英語教育―中学との接続を踏まえて― (1)
久埜百合(中部学院大学客員教授)

 小学校での「外国語活動」(殆どが英語を主要言語として扱っておりますから、以下英語を中心に考えていきます)は、5・6年生で年間35時間必修ということになり、小学校教育課程に英語教育が後には退けぬ形で定着することになりました。教科となるかどうか、その指導方法がどのようなものになるか、教材・教具の開発をどうするか、指導者の養成・確保をどうするか、等々の問題は遂に積み残したままの見切り発車ではありますが、現場の先生方の努力で、授業実践が進み、研究報告が行われています。


 現実に与えられた条件を考えると、「こうすれば良い指導ができる」と言うことは、できること・できないことの選別が難しいです。イギリスでは殆どの小学校の教室に電子ボードが設置されていて、フラッシュカードを腕に抱えて授業を進める時代ではなくなっている、というのにひきかえ、日本では、このフラッシュカードにマグネットをつけて…というようなアドバイスが研修で行われている状況です。多少大袈裟に聞こえるかもしれませんが、韓国では小学校の教室で行われる英語教育は、子どもが英語教室で覚えてきたことの復習になっていて、教室内の習熟度の格差が大きいと聞きます。日本の国情に合わせて、小学校でどのようなことを改善することで授業の内容が豊かになるのか、個々の指導者の考え方が試されていると思います。


 「こうすれば…」良い指導ができる、と考える前に、「どこまで指導したいのか」が明確にならないと、「どうしたいか」については言いにくいです。やりすぎて、中学英語に対して玉突き現象を起こすかもしれない、中学英語との接続のために、どういう接点を想定しておくべきなのか、小中の連絡が上手く取れていない現状です。とは言え、英語教育は高校に引き継がれ、専門性の高い英語の運用能力取得につなげていかなければならないのですから、やはり一貫性のある英語教育のカリキュラムが必要です。このグランド・デザインを描き難い理由の一つに、英語教育研究者を含めて現場で直面する子どもたちの学習能力についての理解が不十分だということがあげられると思います。


 子どもは学ばない、すぐに忘れる、だから、教えたことの化石化は起こらない、と言っていては、小中連携のカリキュラムの必要性はなくなります。週1回の授業で、指導者の英語運用能力にも限りがあるとしたら、確かに子どもが受け取る内容は乏しいかもしれませんが、それでも受け取ったものは子どもたちの中に残ります。子どもの学習能力を低く見積もると危険です。10数年たって見違えるようになった卒業生に、小学校の英語の授業の思い出を聞かされると、冷や汗が出ます。

 少なくとも義務教育期間の中学3年生までに身につけて欲しい英語の運用能力を明確にし、そのために逆算して小学校6年生までに何を すべきかを検討することが急務です。そのときに、「素地を養う」ということの意味が理解され、指導内容や指導方法が確定されると考えます。


 前回、渡邉時夫先生から紹介されたTPRや、MERRIER APPROACHだけでなく、小学校英語・児童英語の分野ではさまざまな教授法が紹介されています。そのどれを選ぶにしても、6年生の3学期までにどこまで到達すべきなのか、そして中学英語に進む中継地点として、何を確認しておかなければならないのか、そこを皆で考えておきたいと思います。小学校の先生方から、「小学校英語の終着地点が見えない」という質問が各地から寄せられます。その地域の人材育成のために、地域で決めていく、という考え方があります。そして、どう見ても過疎化が進んでいる、シャッター・ストリートが増えて 夕方7時くらいになると町が急に静かになってしまうような地域で、先生方が真剣に英語教育に取り組んでおられるお姿に接すると、早急に子どもの側に立った、10年後に良い結果が得られる指導内容と指導技術を皆で確認しあい、授業実践を進めていきたいと思います。


 次回は、私なりのカリキュラムを紹介させていただきたいと思います。

2008年12月22日

 
久埜百合 (くの ゆり)
久埜百合(中部学院大学客員教授)

中部学院大学客員教授。

著書・その他:
ここがポイント!小学校英語 (三省堂、2006/08)
こんなふうに始めてみては?小学校英語 (小学館、2000/10)
小学生の英会話活動―英語が好きになる (教育技術MOOK)
これならできる!小学校英語ガイドブック―先生のためのNHK「えいごリアン」徹底活用術 (教育シリーズ) (日本放送出版協会 、2002/07)
うたって遊ぼう小学生の英語の歌 (教育技術MOOK) (小学館、2000/10)

 

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