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■リレーコラム テーマ 2. こうすればもっと良くなる!授業実践

第8回 指導法について〜指導方法の基本(1)
渡邉時夫(清泉女学院大学教授)

 23年度から実施される新学習指導要領(外国語活動)の目標を達成するための指導方法について、大切なkey wordsとして、次の3点を挙げることができるでしょう。

 (1) 体験的に教える
 (2) 外国語(英語)の音声や表現に慣れ親しませる
 (3) 積極的に授業に参加させる

 上記に配慮しながら、「言語や文化」について理解を深めることが求められています。
 英語の指導に当たって、どのような点に留意すべきかについて簡潔に説明したいと思います。

◆ 体験(行動)を通して学ぶ

 まず、対象となる言語は、話し言葉であり、子どもたちに習得して欲しい力は、「英語を聞いて理解する力」と、「簡単な英語の表現を使う力」です。指導者は、このことを胸にしっかりと刻むことが必要です。

 さて、そのような力は、一体どのようにしたら身につくのでしょうか。最も大切なことは、体験(行動)を通して学ぶ、ということです。具体的には、Total Physical Response (略してTPRと呼ばれています)という 方法を活用することをお勧めします。
 この方法は、アメリカのアッシャー(Asher)という心理学者が考え実践して効果を上げている外国語教授法です。

(1)

先生が英語で指示を出します。
例えば、Stand up. Sit down. Go to the door. Open the door. Come here. などです。

(2)

指示を出した後、先生が、その動作をやってみせます。
Stand up. と言って、座っていた先生が立ち上がります。次に、Sit down. と言って、 椅子に座ります。何度も繰り返すと、生徒は、Stand up. Sit down. の意味が分かってきます

(3)

座っている学習者に向かって、Stand up. Sit down.という指示を出します。
生徒は、いつの間にか、英語の音声と意味が結びつき、先生の指示に対して正しく反応できるようになります。先生の指示が次第に複雑になったり、Go to the door and open the door (it).などのように、複数の単文を結びつけ、学習者に一連の行動をさせたりします。

 このように、先生の指示に対して、oral で反応するのではなく、常に体で反応することから、Total(全部)Physical(体で)Response (反応)という名称が生まれました。
 先生に代わって生徒に指示を出させることもできるようになります。 英語の音声に自然に馴染んでくるので、このように指導すると、あまり抵抗無く、英語を発話することができるようになります。

 この方法を使うと、知らぬ間に「聞いて理解する力」が身についてきます。
具体例を挙げて説明しますと、例えば、Touching game という活動があります。野菜や果物などがたくさん並べてあるスーパーマーケットの絵を見せながら、先生がTouch some apples. Touch the red (green) apples. Touch a small (big) tomato. などの指示をだし、子どもたちは、正しい果物や野菜を指で触ります。
 この活動を通して、子どもたちは果物や野菜などの単語をたくさん覚えていきます。 いきなりapple, tomato, apricot, などの単語を言わせることは避け、これらの表現を何回も耳にし、音声に親しんでから発話させることが肝心です。 そのための工夫としては、touching games の後、こんな方法も考えられます。

 例えば、apple ,tomato, apricot にそれぞれ1, 2, 3 という番号をふっておき、 次の指示を出します。Now, everyone, I say a word and you say its number. OK?  そうすると、子どもは、apple, apricot, apple, tomato,などを耳にするたびに、One, Three, One, Two などと、数字で反応します。順序を変えたり、速度を変えたりすると結構楽しめます。英語ではなく、数字で対応しますので、 子どもたちは気楽に応答できるわけです。
 次に、I say a number and you say the word. All right? と言って、Three, Two, Three, One などと言うと、子どもたちはapricot, tomato, apricot, apple と答えることになります。

 カルタを使うとたくさんのゲーム(神経衰弱など)もできます。 机上に並べたカードの中から、先生が読み上げる単語(apple, apricotなど)を見つけて取ります。競争になるので、楽しみながら音声に慣れたり、音声と果物などが素早く結びつくようになり、意味が定着するようになります。すると、子どもたちは、英語活動に積極的に取り組むようになり、次第に英語の単語や単文などを抵抗なく発話することもできるようになるわけです。そのような状態になったら、年齢に合った歌を紹介したり、チャンツで英語特有のリズムをつかませたりする方向に発展させるとよいでしょう。

 単語だけでなく、ジェスチャーや絵やイラストなどを使うと、簡単な英語の対話の意味も推測できるようになります。

 常に忘れてはならないことは、たっぷり英語を聞かせ、理解できることを重視し、話すことを強要したり、話す練習を多量に与え過ぎてはならない、ということです。

 次回は、「英語のインプットを理解させる工夫〜理解可能なインプットの与え方」について説明したいと思います。

2008年10月22日

 
渡邉時夫 (わたなべ ときお)
渡邉 時夫(清泉女学院大学教授)

清泉女学院大学教授。

著書・その他:
英語が使える日本人の育成―MERRIER Approachのすすめ (三省堂、2003/5)
実践的英語教育の進め方―小学生から一般社会人の指導まで (21世紀の英語教育を考える) (ピアソンエデュケーション、2002/9)
新しい英語の学び方・教え方 (21世紀の英語教育を考える) (ピアソンエデュケーション、2001/9)
インプット理論の授業―英語教育の転換をさぐる (英語教育叢書) (三省堂、1988/9)

 

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