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■リレーコラム テーマ 2. こうすればもっと良くなる!授業実践
太田垣 正義 (鳴門教育大学小学校英語教育センター所長)
◆ コミュニケーションの重視
さる3月に公示された学習指導要領の中に、初めて小学校に外国語活動が導入され、その目標は、「外国語を通じて言語や文化について体験的に理解を深め、積極的にコミュニケーションを図ろうとする態度の育成を図り、外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませながら、コミュニケーション能力の素地を養う」ことであるとされています。
この一文の中に「コミュニケーション」という言葉が2回使用され、その重要性が強調されています。したがって、これから小学校で英語教育を行う場合、子どもたちにコミュニケーションへの意欲を植え付け、コミュニケーション能力の素地を養うことをまず念頭におく必要があります。
コミュニケーションといえば、活発に英語を使って問答をしたり、楽しくゲームをすることのように考えられています。しかし、そうした活動の多くはコミュニカティブでないことがあります。
◆ 活動の改良
それではどうすればいいでしょう。J. Harmer(1983) The Practice of English Language Teaching (p.45) は、コミュニケーションの要因と
して次の6つがあると提案しています。
(A) 学習者の伝達意欲 (B) 伝達の目的 (C) 構造より内容中心
(D) 1つの文法構造よりも言語の多様性に注意が向くこと
(E) 教師が干渉し過ぎないこと (F)題材を管理しないこと
例えば、文科省から配布された『英語ノート』(6年生用、18頁)に「自分の生まれた月の数字を( )に書き、日付を○で囲もう」という
活動がありますが、これを上の基準でチェックすると、あまりコミュニカティブでないことになります。
そこで、「自分の生まれた月を英語で言ってみよう」とか「When were you born? I was born in 〜. を学習し、友だちに聞いて回り、自分と同じ月に生まれた人を2人探そう」というようにすれば、Harmerの基準をもっと満たすことになり、子どもたちがコミュニケーションに意欲を持つようになります。
2008年7月18日