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■リレーコラム テーマ 2. こうすればもっと良くなる!授業実践
田尻 利恵子 (児童英語講師、小学校英語活動研修講師)
「ごめんね。Can you guess? って言うのをすっかり忘れてた。」
これは、ある小学校の研究授業の中で、先生が子ども達にジェスチャーを交えながら職業の名前を当ててもらう時に子ども達に伝えられたことばです。その何気ない一言によって、子ども達がリラックスしていく様子を見ながら、私は何だかとても心が温かくなりました。
この授業は、職業の名前を知るという目標のもと、事前に実施された「将来なりたい職業」のアンケート結果発表の導入から、ゆるやかに展開されていきました。先生が10位から順番に発表する職業の名前に子ども達は興味津々でした。
先生のクラスルーム・イングリッシュを丁寧に使いながら授業を進めていかれる姿、時には日本語も交えながら子ども達にうまく受け答えをしたり、語りかけたりしながら授業を一緒に創っていらっしゃる姿を見せていただきながら、このようにして子どもたちのコミュニケーションをしようとする態度が育成されていくのではないかということをあらためて感じました。
授業後の協議会で、この日のために、先生方が学年の枠を超えて、授業を一緒に創られていたことがわかりました。教材作成はもちろんのこと、どんな演出をすれば子ども達の興味をひくことができるかという点に関しても、先生方がまるで自分の授業のことのように考え、アイデアを出し合って決められたそうです。実際の授業の中では、そのような演出は、たった数十秒、数分程度のものですので、そんな演出に時間をかけることは、一見時間の無駄なのでは?と思えるかもしれませんが、私にはとても大切なことのように思えるのです。
演出を考えることの裏には、先生方の子どもに対する温かい気持ちがあるのではないかと思うからです。また、この授業は、その授業者の先生にとって、初めての英語の研究授業だったそうで、子ども達、そして同僚の先生方によって助けられたお陰で無事に授業を終えることができたのだとおっしゃっていたのがとても印象的でした。
小学校の現場に足を踏み入れてみると、英語活動を通じて、このような先生と子ども達、そして先生方同士の心温まる場面に遭遇することがあります。そんな日は、協議会後、授業の裏話で盛り上がってしまい、時間の経つのも忘れてしまうほどです。必修化に向けて動き始めようとしている小学校英語からたくさんの素敵なドラマが生まれることを願いながら、先生方からいろいろと学ばせていただき、私自身もっと勉強していきたいと思います。
2008年2月28日