アジアネット教育研究所は専門家による小学校英語教育、ヘルスケア・マネジメントの情報を提供します

会社概要 企業理念 アクセス お問い合わせ HOME
小学校英語教育
小学校英語教育TOP
▼リレーコラム
テーマ 1. 教師の資質とは
▼リレーコラム
テーマ 2. こうすればもっと良くなる!授業実践
▼リレーコラム 特別号
活動報告
質問回答コーナー(準備中)
掲載記事(準備中)

グループ会社紹介
株式会社ネットラーニング
株式会社wiwiw



HOME > 小学校英語教育TOP > リレーコラム

■リレーコラム テーマ 2. こうすればもっと良くなる!授業実践

第2回 教師の大切さと「道具」の利用
住 政二郎 (姫路獨協大学講師(2011年4月より流通科学大学准教授))

 みなさん、こんにちは。姫路獨協大学講師(2011年4月より流通科学大学准教授)の住です。前回のメールマガジン では、CAI (Computer Assisted Instruction) から、近年、注目を集めている学習科学 (Learning Seicences) までの流れを ご紹介しました。今回は、ちょっとコンピュータからは離れて、子どもたちは、どこで、どのようにして言葉を学ぶのか、 という点に注目し、授業のなかでの先生の役割の重要性についてお話したいと思います。

 先日、NHKスペシャル『赤ちゃん 成長の不思議な道のり』を見ました(2008年1月23日放送:http://www.nhk.or.jp/special/onair/080121.html)。 実は、赤ちゃんは、世界中の言語の微妙な発音の違いを区別できることをご存知でしたか? そして脳の潜在能力が最も高いのは、成人期ではなく、生後8ヶ月頃から1歳前後であることを!!番組では、赤ちゃんの言語獲得と成長の関係性という視点から、1年間にわたる詳細な記録が、最新の研究成果と共に紹介されていました。

 番組の後半では、ワシントン大学のパトリシア・クール博士(http://ilabs.washington.edu/kuhl/) の、大変興味深い研究成果が報告されていました。研究では、英語のみが話される環境で育った生後9ヶ月の赤ちゃんを対象に、一定の期間、1)中国人女性が、おもちゃを使って赤ちゃんに中国語で話しかける映像だけを見せる環境と、2)中国人女性が、おもちゃを使って赤ちゃんに直接話しかける環境との比較実験が行われました。
 その結果、映像のみを見せ続けた場合には、何の変化も確認されず、逆に、中国人女性が赤ちゃんに直接話しかけた環境では、 中国語の音声を聞き分ける能力に、よい変化が生じていることが明らかになりました。こうした実験結果から、クール博士は、 赤ちゃんが実際に置かれた環境の中で経験する、他者との直接的なインタラクションの、外国語学習に与える影響の重要性を 指摘していました。

 こうした実験結果を踏まえて、改めて小学校の英語活動に目を向けると、教室内での先生の役割の重要性が浮かび上がって くるような気がします。また、先生の役割に注目して授業を見直すことは、授業でしかできないことの意味と役割を浮かび上がらせてくれるような気もします。

 小学校の英語活動を考えようとすると、どうしても、「活動」や「教材」に目が向いてしまいます。活動や教材は、「かたち」にしやすいため、多くの教材資料を手に入れることができます。参考にすることもできます。 コンピュータの利用についても同じことが言えると思います。 しかし、より大切なことは、子ども達が教室内で見せる一つひとつの変化に合わせて、しっかりと言葉を返して行くことなのかもしれません。
 先生方が教室内で使うバラエティー豊かなクラスルーム・イングリッシュには、実は、生徒をほめたり、励ましたり、活動の展開をつないだりする以上に、子ども達のことばの獲得の上で、とても大切な要素を含んでいるのかもしれません。こうした先生と生徒のやりとりを中心に据え、どのようにそのインタラクションを生み出したり、つないだり、広げたりすることが、道具としてのコンピュータにできるのか、私も考えて行きたいと思っています。

 今回は、少しコンピュータから離れて、なぜ、教材を使うのか、なぜ、コンピュータは必要なのか、そんな問題を考える手がかりについてご紹介しました。次回からは、具体的な小学校英語活動へのコンピュータ利用についてご紹介して行きたいと思います。

【参考文献】
・Bruner, J. (1983). Child's talk: Learning to use language.
  Oxford: Oxford University Press.
・小林春美、佐々木正人(編)(1997). 『子どもたちの言語獲得』
  東京:大修館
・Kuhl, P. K., et al. (2003). Foreing-language experience in infancy:
  Effect of short-term exposure and social interaction on phonetic
  learning. Retrieved January 22, 2008, from   http://ilabs.washington.edu/kuhl/pdf/Kuhl_tsao_2003.pdf
・正高信男 (2001). 『子どもはことばをからだで覚える―
メロディから意味の世界へ』
  東京:中央公論新社

2008年1月28日

 
住 政二郎 (すみ せいじろう)
住 政二郎(流通科学大学准教授)

流通科学大学講師。
ICTを活用した英語教育の研究、開発を行うほか、大阪具箕面市の小学校英語活動講座の講師としても活躍している。

著書・その他:
『外国語教育のための授業環境デザイン』英語授業実践学の展開―齋藤榮二先生御退職記念論文集 (記念論文集編集委員会、2007/5)
・OSSを活用した新しい外国語教育・学習支援方法の導入 (Computer& Education、2005/8)

 

ページトップへ▲