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■リレーコラム テーマ 1. 教師の資質とは
梅本龍多(大阪府河内長野市立高向小学校)
小学校での外国語活動(英語活動)において望まれる学級担任の教師
(HRT)像とはいかなるものでしょうか。ここではその望まれる教師像を外国語活動におけるHRTの役割から考えてみたいと思います。
外国語活動におけるHRTの役割をひと言で表現すると、「つなぐ」であると考えています。その「つなぐ」には5種類あるようです。それは、
- 子どもと子どもとをつなぐ
- 子どもとALTとをつなぐ
- 子どもと外国語とをつなぐ
- 子どもと世界とをつなぐ
- 子どもの他教科等での学びと外国語とをつなぐ です。
ここでは、最も大切と思われる「1. 子どもと子どもをつなぐ」について述べます。
◇子どもと子どもをつなぐ
外国語活動は、コミュニケーションを楽しむ時間ととらえています。コミュニケーションをとるということは、子どもと教師、子どもと子どもが外国語を使ったやり取りを実際に行うということです。
授業設計の段階から「子どもと子ども」をいかに交流させ、しかもそれが楽しいと感じるものにするための構想を練らなくてはなりません。つまり、「子どもと子ども」が必然的に活発に交流をはじめるような仕掛けを授業の中に組み込むアイディアを生む力と、柔軟な授業運営の力が望まれます。これには教師として様々な指導経験を積まなければならないかもしれません。
授業中、子どもを観察していると次のような子どもを見ることがあります。いつも同じ子としか話したがらない、恥ずかしがりやさんで、自分から進んで話しかけられない、横について一緒にしてあげないと、スムーズに友だちと会話を続けられない、などなど。これらの場面に遭遇した教師は、瞬間的に状況を判断し、様々な様子の子どもに適宜適切な指導をしなくてはなりません。このようなコミュニケーションの苦手な子どもを助けるのは教師です(もちろん、学級の子ども達もそうですが)。
どの子も様々な方向でつながっていくようにしなくてはなりません。そして、つないだ後は、教師は一方通行のやり取りを双方向のやり取りに変換する支援をし、そしてさらにその輪が他の子どもへと次々にリンクしていくような指導ができなくてはなりません。そして、繰り返し繰り返し、教師は粘り強く、子どもを信じて指導をしなければなりません。
授業中、私は教室をぐるっと見回すことがあります。「1人ぼっちになっている子どもがいるんじゃないかな。」「その原因をつかめているのかな。」「そもそもその子どものことを私はどれだけ理解しているのかな。」「そういえば、子どものやる気を起こさせるようなひとことを、すべての子ども一人一人に直接投げかけたかな。」「あっ、ひとりになっている子どもがいるぞ。」「今あの子を助けたらいいのかな、それとも、もう少し見守っておけばよいのかな。」
タイミングを誤ると効果は薄れるだけでなく、逆効果のときもあると聞きます。かといってあれこれ迷っている間もないのです。状況を的確に判断する力も必要です。
外国語活動のときは、ALTに授業すべてをおまかせにしてはいけません。
子どもと子どもを、どうかつないであげてください。また教師の力を借りずに子ども達の手でつながっていけるような学級作りを続けてください。
教師自身にはなかなか見えない自己教師像ですが、子ども達は毎時間毎時間見ているはずですよね。
2008年5月26日